奈良西部病院は病床数117床の二次救急病院で、奈良県西部の地域医療を担う救急指定病院として稼働しています。
今回は、具体的にサービスの活用事例をお伝えするため奈良西部病院の地域連携室長 兼 総務課長の松田様(以下、松田)にお話を伺いました。
導入のきっかけ
松田:元々夜間の勤務体制を変えたいという気持ちがあり、2020年10月ごろにドクターズプライムから電話でサービスの紹介があり、救急車の受入状況のデータ分析を利用したのがきっかけでした。
症例別や医師別のデータを分析して院内の課題が改めて明らかになり、院内でも何度も話し合って採用サービスを導入することを決定しました。
導入前の課題
弊社鈴木(以下、鈴木):導入前には、どのような課題があったのでしょうか?
松田:課題は2つありました。1つ目は救急車の搬送件数が低くなっていたことがあります。 要因としては近隣に病院が新しくできたり、県の大きな病院が移転してきたことでこれまで奈良西部病院に来ていた搬送が他の病院に流れてしまっていました。
2つ目は救急車の受入率の低さです。積極的に受け入れてくれる医師も少なかったです。 これらの課題から救急体制を改善していきたいと思っていました。
弊社大貫(以下、大貫):導入前にも、松田様が院内で様々な改善策を行っていたんですよね。
松田:救急車の断り理由や医師別の実績などを集計し、レポートとして報告をすることはありました。ただそのデータから具体的な対策をするということはできていませんでした。
また、当直室(夜間に医師が待機する部屋)に張り紙を貼って注意喚起や、救急受入れの現状を面談をして伝えるようなことは行っていました。現場の看護師さんにもなんとか受入れするように依頼したりと、まずは院内でできることを始めていました。
しかし、夜間勤務の体制は医師ありきの話になってくるので、効果的な対策はできていなかったです。医師が変わらないことには、対応出来る診療範囲が変わらない、根本的な解決にならないと感じておりました。
大貫:松田さんの熱い想いに、私たちも採用を通じて「絶対に改善したい」という気持ちでした。
松田:正直なところ、元々知っている会社でもなかったですし、奈良県では初導入ということもあり最初は半信半疑でした。しかし、何度もコンサルタントや代表の方とお話する機会を設けていただいたり、社員のみなさんの一緒に改善していきたいという思いがとても伝わってきました。今のまま待っていてもよくないと思い、導入をすることを決めました。
理事長がドクターズプライムの代表とお話する機会を設けていただいたりしたので、院内全体でも信頼感を得る形となったと思います。
導入後の実績
鈴木:採用サービスの導入後には、救急実績にどのような変化がありましたか?
松田:今のペースだと、今年度は例年と比較して救急車の要請台数・応需台数が約200台増加する見込みです。
実際に実績が出ているので、病院内の人にも導入していることを自信を持って言えますし、患者数が増えることで院内の雰囲気も活発になりました。
奈良市の消防からも「最近救急車の受け入れ台数が増えている」という話をされ、病院の印象が前向きになっていると思います。 実際に投資した以上の効果があったのではないかと感じています。
院内ではどんな変化があったのか
大貫:採用サービスを導入してから、院内では何か変化がありましたか?
松田:今では、救急車を受け入れることが当たり前になっているというのが一番大きな変化かもしれません。正直なところ、これまでは受け入れが少なくてもそれが当たり前になってしまっていた雰囲気がありました。今は「まず取ろう」という精神が、院内に浸透しています。
また、これまでは「医師に来てもらっている」という立場でなかなかこちらから救急車の受け入れをお願いしにくい空気がありましたが、ドクターズプライム経由で沢山医師が来てくれるようになったことで、医師の入れ替えや可能な限り救急受入をしていただく要求ができるようになりました。
救急体制の改善を実現できた要因
鈴木:サービスにおいて、特にどんな点で価値を感じていただきましたか?
1. 救急隊との連携
松田:いくつかありますが、1つ目は救急隊へのアプローチです。 これまでも私が救急隊へ訪問していましたが、他の病院も同様のことをしているので正直差別化はできていなかったのかなと思います。
ドクターズプライムの山田さんと一緒に救急隊を訪問したり、毎月ドクターズプライムから実績や勤務予定を送ることで救急隊も病院の積極的な取り組みを認知をしてくれたのではないかと思っています。
弊社山田(以下、山田):導入後に松田さんと一緒に消防隊を訪問したのが懐かしいですね。
松田:そうですね。院内でも、救急隊ともっと連携して救急要請を増やそうという意識が高まっていたと思います。搬送に来た救急隊に対して、院内の者が「しっかり救急車を受け入れるので今後もよろしくお願いします」と一言かける場面も見受けられました。
こうした取り組みで救急搬送が増えることで、院内にも活力が出ました。
2. 院内でのルール作り
松田:2つ目に、勤務時のマニュアルはやって良かったと感じました。導入前にも簡単なマニュアルがあったものの、不十分な点もありしっかりとは機能していませんでした。ドクターズプライムと一緒に作成したことで、外部の知見も取り入れた詳細なマニュアルを作成することができました。
また、病院が独自で作ってもあまり医師に伝わらなかったんじゃないかと思います。ドクターズプライムと共同でルールを作成し、勤務する医師に徹底することでうまく機能しています。
山田:サービスを活用できた点として、松田様が院内で推進してくれたというのもとても大きいと思います。院内で話を進める上で、大変だったことなどはありましたか?
松田:院内での調整は大変でしたが、実際に数字を見せたり諦めずに何度も話を重ねることをしていました。私自身も院内で導入を進めた手前、絶対に実績を出さなければと思っていました。
導入後のギャップ
鈴木:サービスの導入後に感じた課題やギャップなどはありますか?
松田様:搬送数がすぐにはなかなか伸びなかったことです。導入して半年間くらいは横ばいな状態が続いていました。
鈴木:救急要請数の増加に関しては弊社でも苦悩して、松田様とも様々な方策を検討させていただきました。しかし、直近では要請数も右肩上がりになっている印象がありますが、どのような要因があったと思いますか?
松田:近隣の病院の外部要因などもあるかと思いますが、院内の救急車応需率が伸びて7月に日中の応需率100%を達成できたことと救急隊への連絡を継続したことが大きいのではないかと思います。
今は朝出勤した後に、前日どのくらい救急車を受け入れてくれているか楽しみにしています。日々受け入れ台数が改善しているのを見ると「よっしゃ!」となりますね。
山田:そうなんですね。これまでも朝の確認はしていたんですか?
松田:確認していましたが、これまでは救急車要請がないことがほとんどだったので、大体は「また0台だな」と残念に思っていました。
今後の展望について
鈴木:サービスのお話をお聞かせいただきありがとうございました。病院としての今後の目標はありますか?
松田:救急車の搬送数をもっと増やしていきたいですね。安定して救急要請がきて、病棟が活発に活用される状態を目指していきたいです。 そのために、ドクターズプライムでの医師採用を継続して、定期的にデータ分析などを利用できればと思っています。
一同:嬉しいお言葉ありがとうございます。今後ともよろしくお願い致します!
終わりに
今回は、データ分析での課題発見 → 医師採用による根本解決 → 採用・救急コンサルティングによるデータ分析や救急隊との連携で弊社サービスをご活用いただいた事例を紹介させていただきました。
また、今回の事例は院長先生や常勤の先生方、看護師の皆様、コメディカルの皆様、事務職員の皆様、松田様など院内の皆様のご協力があってこそ実現することができました。改めて、感謝申し上げます。
奈良西部病院様のように
- 「救急を断らない医師」の採用により「まずは取ろう」という院内の空気を作っていきたい
- 当直マニュアルの作成により、院内の当直ルールを平準化したい という医療機関様は、ぜひ以下のフォームよりお問い合わせくださいませ。資料請求やご相談をお待ちしております。