Dr.'s Prime Work 導入事例

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ドクターズプライム導入事例

【谷津保健病院共催セミナーレポート】 輪番病院における救急応需率向上の戦略と実践~受け入れ台数年間1300台から2700台へ~

弊社が輪番日の応需率に悩んでいる病院様や常勤医師の当直負担を軽減したい病院様向けに開催したオンラインセミナーに、弊社サービス「Drs’ Prime Work」をご利用していただいている谷津保健病院 院長の須藤先生(以下敬称略)に登壇していただきました。

谷津保健病院様 は病床数274床の千葉県の指定二次救急医療機関で、千葉県習志野市の輪番制病院に指定されており、「地域を支える総合医療を提供する病院」として地域医療に取り組んでいます。

本セミナーでは「常勤医師の負担軽減と応需率UPを同時に達成する方法」をテーマとし、輪番制のある病院様向けに輪番日の応需率を上げるための秘訣を実際に行った施策を交えながらお話しいただいた内容を記事にまとめました。 本記事を読んで弊社サービスにご興味がありましたらぜひお気軽にお問合せください。

輪番制のある病院でも応需率は上がらない?

落合:輪番制度では輪番日に指定された病院に要請が来ますが、そんな病院であっても応需率が低いということは一般的にある問題なのでしょうか?

須藤:市から輪番病院として指定されたものの、実際の応需能力には当直する医師のスキルや受け入れに対する姿勢によって差が出てしまっていました。当院でもオンコール体制や当直医の数を増やすなどの対策を講じましたが、どうしても経験が少ない医師はリスクを過大に感じて患者を受け入れるのをためらうという課題がありました。

なぜ応需率が上がらないのか?

落合:こちらは令和5年度に防災局が出している「救急車の断り理由のランキング」です。
最近では専門医制度の導入もあり、一昔前と比べ断り理由が多様化してきているという印象を受けました。
また、ここで注目すべき点は「不当な断りも含む」であると考えていて、実際に不当なお断りは起こっているのでしょうか?

須藤:ここには記載されていませんが他にも様々な理由があり、中でも満床による断りは医師に責任が及びづらいため断りの理由として多いと思います。専門外の断りも先程の通り医師のスキルに依存してしまうため実際に多い問題であると思います。

落合:医師にフィードバックを行っても改善は難しいのでしょうか?

須藤:もちろんフィードバックをすることで改善される医師はいますが、それでも難しいのが現状です。当院でも、断った理由を医局内に掲示することで不当な断りをなくすような施策を行いましたが、医局からの反発で断念しました。

谷津保健病院様が考える理想の救急車を受け入れるための体制とは

落合:次に弊社の勉強会サービス「Dr’s Prime Academia」に登録している医師に【医師が安心する受入体制とは?】というアンケートを取った結果がこちらです

今回のアンケート結果では上記のような意見が出ましたが、これに関して須藤先生はどうお考えでしょうか?

当直帯の人員確保に関して

須藤:当院は比較的都心に近いため人員を確保することができましたが、地方の病院だとそこも難しいと思います。しかし、その分費用やスタッフに当直の負担が増えてしまうためうまくいかない事もあると思います。

受け入れ後の退院,転院体制に関して

須藤:当院では習志野市内で連携して転院先を決めています。最近ではネット上で相談できるようになっているため以前のように電話で説明して回るというような負担は少なくなっていると思います。 やはり、搬送時に転院先のことまでは考えていられないため、地域ごとに連携して事前に心配をなくしていくことが大事だと考えます。

受け入れ時にある電話対応の負担に関して

須藤:当院では基本的に看護師が受け入れに関する電話対応を行い、複数の医師が当直している場合、看護師が救急隊からの症状の情報を聞き、どの医師に連絡するかを判断していました。しかし、症状がわかりづらい場合には、どの医師に連絡すべきか判断が難しくなり、看護師にとって負担となっていました。また、看護師を介した会話には無駄が多く、看護師の判断で患者の受け入れを断ってしまうこともあります。

このような電話リレーの結果、患者を断ることは最悪なため医師に直接電話をつなぐ事が解決策の一つだと考えます。実際、医療行為に関する判断などは直接来ることもあります。

落合:ありがとうございます。この他に谷津保健病院で受け入れを増やすために実際に行なった施策の中で、これはさほど効果がなかったというものを教えて欲しいです

須藤:専門外の疾患に対するオンコール体制は効果が薄かったと感じました。特に若い医師から夜中に電話することを申し訳なく感じてしまう事や相談しても適切なアドバイスが得られないなどの理由から実際に利用されることが少なく、応需に関しても改善されませんでした。

効果のあった施策から考える輪番日応需率60%→90%の秘訣

落合:そんな中で須藤先生が行なった応需率を上げる施策の中で効果があったものが、まずは輪番日に集中して受け入れる体制を作るというものだったのでしょうか?

須藤:毎日の応需率をあげようとすると医師や看護師の負担が多くなってしまうためまずは輪番日に集中しました。
輪番日には近隣の市町村からの要請もあるため、当時は3人体制で夜間の救急対応をしていましたが、専門領域の違いから担当の医師の決定が難しく、なにかあったときに自分の責任になるなどの理由で結局受け入れが増えませんでした。そのため、複数の医師より1人の医師が初期対応からその後の対応まで幅広くできる医師に体制を変更したいと考え、質の高い医師を紹介してくれるドクターズプライムの医師に体制を変更することで、ドクターズプライムの医師は救急のための医師、常勤医師は病棟業務のための医師としてすみ分けをすることができ、応需率もだんだんと上がっていきました。 このように「医療の質を上げるために救急のための医師を配置する。」ということが応需率が上がった理由であると考えます。

 

落合: 谷津保健病院様では受入数に制限を設けたとお聞きしました。
制限を設けるということは、応需率を上げることと相反することのように思えるのですが、制限を設けた背景を教えてください

須藤:初めてドクターズプライムの医師に来ていただいた日に救急車をすべて受けてしまい、病棟や救急外来にも過重な負担がかかってしまいました。こうなると医療ミスや看護師の加重労働にもつながってしまうため上限を設けました。上限といってもそれでも多い人数を受け入れているためリスクを最小にした人数を毎週会議で決めています。 医師や看護師からも上限が目標として機能してやりがいにつながるといった声もあります。

応需率を上げて得られた成果

落合:輪番日に集中して、応需率を上げたことで収益的な効果はありましたか?

須藤:23年8月から導入を開始して、去年の1年度で救急車の受け入れ台数が1300台から2700台まで上がり、地域医療体制確保加算もあり収益アップにつながりました。頑張ってくれたスタッフへの冬のボーナスも良くすることができました。そうなると医師も看護師もモチベーションも上がり、病院の志気もあがるという好循環が生まれています。

谷津保健病院が考えるこれからの救急

落合:谷津保健病院様の考える今後の救急体制や地域医療としての形はどのようなものがありますか?

須藤:現状、輪番日の応需率は上がりましたが、非当番日はドクターズプライムも導入しておらず応需率も高くないため、毎日は負担的に厳しいですが少しずつ改善していきたいと考えています。また、今後は三次救急病院と連携して下り搬送も受けていき、地域全体で患者様を支えていきたいと考えています。

落合:ありがとうございます。谷津保健病院様の未来のために私たちも全力でサポートさせていただきます。今回は共催セミナーにご協力ありがとうございました。

左:須藤先生(院長)、右:落合(ファシリテーター)

 

谷津保健病院様のように「救急を断らない医師」を採用することで、

  • 輪番病院として救急を断らない先生を採用し、応需率を改善していきたい
  • 救急のための医師を採用することで常勤医師の当直負担を軽減したい

という医療機関様は、ぜひ以下のフォームよりお問い合わせくださいませ。資料請求やご相談をお待ちしております。

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